ETSは、手のひらの多汗症には確実な効果があり、特効的ともいえる治療法です。
外用薬・イオントフォレーシスに効果が見られない重症例でも、十分な効果が得られます。
手のひらの汗・顔面・頭部・脇の下・足の裏からの汗は、自律神経の一つである交感神経の活動によって誘導されます。
発汗の中心的な役割をはたす交感神経節の機能も解明されてきており、顔面・頭部の汗は頚部から第三肋骨までの交感神経節が関係しており、手のひらでは頚部から第六肋骨まで、脇の下では第三から第八肋骨まで、足の裏では腰部交感神経節と、それぞれ関連する神経節の領域が異なっています。
手のひらの局所多汗症は、頚部から第六肋骨までの胸部交感神経節の働きが通常より強いため、手のひらの発汗が多くなっていると考えられています。
従って、交感神経節の活動を抑える作用を加えると、その領域の発汗が減弱します。
このため、多汗症治療において交感神経節に直接アプローチし、発汗にかかわる交感神経節の働きを抑える処置を行なうのがETSです。
一方、交感神経節は汗だけの役割を果たしているのではなく、他の機能もあるため、ETSでは正確かつ繊細な手術操作が要求されることになります。
切除部位が不適切な場合には、瞼が垂れ下がるホルネル症候群と呼ばれる副作用がでます。
現在では、映像技術がハイテク化し小型高性能な内視鏡が開発された結果、細くて小さな交感神経節であっても拡大して見ることができるようになり、手術の精度・確実度は格段に向上しました。
他の内視鏡手術と同様ですが、多汗症手術においても治療件数が増加しています。
ETSでは手術後に顔面・頭部手のひら・脇の下の発汗は止まる一方、それ以外の発汗は増加する反射性発汗(別名:代償性発汗)とよばれる状態があります。
反射性発汗も程度が強い場合には日常生活で負担となりETSの問題点とされてきました。
歴史的には、ETSは北欧において開発され、当初は全身の発汗能力の高くない白人に適応されたため、反射性発汗はあまり問題となりませんでした。
しかし、ETSが1990年代より世界中で行われるようになり、有色人種における反射性発汗がクローズアップされるようになりました。
この副作用の原因では、交感神経節の遮断部位が大きく関係していることが明らかとなり、改善が図られています。